紅茶にはさまざまな薬効成分が含まれていますが、具体的な効果は次のとおりです。
① 脳卒中予防・血圧上昇を抑える
血圧は健康のバロメーターとして良く測定されます。特に私たち日本人の食生活は塩分を多くとりがちですから高血圧になりやすく、これが原因でおこる病気にかかりやすいものです。ラット(ハツカネズミ)を通常のエサで飼育したものと、茶カテキンを用いて飼育した場合とでは、脳卒中による死亡が2週間も遅延する結果が報告されています。
② ガンを抑制する
ガンについてはまだ詳しいことは明らかになっていませんが、その80%は食生活などの生活環境によるものと考えられています。実際、健康を意識した食事をすることによって、ガンの発生が予防または減少したという報告もされています。ガン細胞は血液中を移動して別の組織の血管の内側に接着し、そこで増殖(転移)します。
しかし、紅茶の主な成分であるポリフェノールは、ガン細胞が別の血管に接着するのを著しく阻害することが動物実験でわかってきました。
③ 動脈硬化の進行を抑える
軽い切り傷であれば、放っておいてもやがて出血は止まり、傷口はふさがります。これは血液中の血小板が出血の起こっている患部に凝集して、血液を固めてくれるからです。このように、血小板は私たちの体にとって重要な働きをしています。
ところが、私たちの体に有効であるはずの血小板の凝集作用が必要以上に増進すると、今度は逆に病気を引き起こすことになるのです。血管内で血液が固まって血栓ができ、血液の循環を妨げてしまうのです。血栓が脳や心臓の動脈内にできれば、脳梗塞や心筋梗塞といった恐ろしい症状につながります。
この血栓ができる主な原因として動脈硬化の進行があげられます。動脈硬化とは簡単にいえば血管の老化現象です。 血管内にコレステロールや脂肪、カルシウムなどが沈着して、血管壁が硬く、内腔が狭くなる状態をいいます。これが進むと血小板の凝集作用が高まって、血栓ができやすい状態になってしまいます。その血栓の予防に紅茶が有効であるという実験報告があります。ある大学教授のグループで、長年、お茶や野菜、果物などをはじめとする食品の血小板の凝集抑制作用を調べた結果、紅茶と緑茶に効果のあるものが多く、中でもセイロン(スリランカ)産、ケニヤ産、アッサム産の紅茶に比較的効果が強く認められました。また、別のグループではお茶のカテキン類(渋み成分)が血中コレステロールに対してどのような影響を及ぼすかの実験を行いました。そして実験の結果、カテキン類が食事により増加する過剰な悪玉コレステロールを抑える作用があることがわかりました。そのほか血栓の予防にもかなりの効果をもつものと期待されています。
④ 食中毒の解消
細菌性の食中毒は「感染型」と「毒素型」の2種類に大別できます。感染型とは、食べ物と一緒に取り込まれた菌が、その後体内で繁殖するものです。それに対し毒素型とは、細菌自体が産出した毒素を食べた場合におこる食中毒です。いずれにしても症状が重い場合は生命を脅かす危険なものです。紅茶には殺菌作用があり食中毒の症状を和らげるのに有効な作用を持っていることも研究報告されています。以前流行したO-157も紅茶の殺菌作用で著しい効果がありました。
⑤ インフルエンザの感染を阻止する
風邪は万病の源といいます。たかが風邪と油断して放っておくと、病気を誘発することになりかねません。そこで注目されるのが紅茶の薬効です。紅茶には風邪の大御所であるインフルエンザのウィルスの活動、増殖を抑える働きがあることが確認されています。これは紅茶の中に含まれるテアフラビンの働きによるもので、A型、B型などウィルスの種類に関係なく有効に作用し、即効性があります。また細胞がウィルスに感染してしまってもその増殖を抑える働きもあります。ただし、紅茶にミルクを加えると、テアフラビンがミルクのたんぱく質と結びついて、この作用は弱まってしまいます。
また、紅茶の抗ウィルス作用を市販のうがい薬と比較したところ、予想以上に紅茶のほうに効果があることがわかりました。出がらしの紅茶で十分効果がありますので、特にインフルエンザが流行する冬場は、お出かけ前や外から帰ったら後に、毎回「紅茶のうがい」をする習慣をつけましょう。
⑥ アレルギー予防にも効果
花粉症をはじめアレルギー性鼻炎、気管支ぜんそくなど、アレルギー疾患の症状を和らげたり予防したりするのに紅茶が大変有効であることが、実験で立証されています。
アレルギー疾患は体内に異物(抗原)が侵入すると、リンパ球がそれに反応し、抗体を生み出します。そこに再び抗原が入ってくると、細胞内にさまざまな抗原抗体反応が起こり、くしゃみ、鼻水、頭痛、かゆみなどの症状が表れるのです。実験では、アレルギー反応に深く関与する抗体を持ったラット(ネズミ)に紅茶、緑茶、ウーロン茶を与えたところ、どのお茶にもアレルギーを約50%抑える効果が認められました。
アレルギーには花粉症などの即時型アレルギーと、アトピー性皮膚炎のような遅延型アレルギーがありますが、どちらのタイプにも明らかな効果があったということです。
⑦ 筋肉を刺激して運動能力を高める
紅茶にはカフェインが含まれています。カフェインは筋肉刺激剤ともいわれ、その力により通常では発揮できないパワーを生み出すことも可能なのです。カフェインは中枢神経に作用し、特に知能的な要素、精神的な精密さと関連する競技に深い関係があることがわかっています。つまり、短距離走より走り高跳びのような競技のほうが、その効果が顕著に表れます。長距離走、クロスカントリー、サイクリングなど持久力を必要とする競技に有効です。中枢神経の興奮によって表れる疲労をカフェインが抑えてくれるのです。またカフェインは脂肪の燃焼を促進させる作用が働きますし、眠気を覚ます効果もあります。
⑧ 虫歯予防に効果的
甘いお菓子やケーキに紅茶はとてもよく合います。お菓子を食べすぎると虫歯になるのではと心配してしまいますが、紅茶にはフッ素が含まれています。フッ素はハミガキ粉の主成分です。つまり、虫歯予防の働きを持っているといえますので、紅茶の「脂肪の燃焼を促進させる効果」を併せ考えれば、太る心配もなく安心して食べられます。
⑨ 目の疲れをとる
紅茶の抽出液をまぶたに塗ると、目の疲れを解消してくれます。これは紅茶に含まれるビタミン類やカテキン類が目の皮膚に浸透して有効に作用するからです。
⑩ 精神的にリラックスさせてくれる
紅茶を飲む前と飲んだあとで、精神的に違いがあるかどうか、脳波を調べた実験報告があります。それによると、紅茶を飲んだあとのほうが、精神的にリラックスしていることが認められました。しかも紅茶の香りをかいだ時点ですでにリラックス効果が表れていることがわかりました。紅茶にはリラックス効果がありますので、ストレスを解消してくれます。また、慢性疲労を感じる方にもお勧めです。
⑪ 自然に無理なくダイエットできる
カフェインには脂肪の燃焼を促す働きがありますが、カフェインを含む紅茶にもダイエット効果があるのではとおもわれますが、実際、ラットを使った実験でそれが立証されています。その実験によると、ラットを「通常のエサ+水を与えたラット群」と「通常のエサ+紅茶を与えたラット群」に分けて1年間飼育し、それぞれの体重の増減を比較したところ、紅茶を与えたラット群のほうが体重の増え方が2割も少なかったのです。このとき同時に脂肪のつき方も比較してみると、水を与えたラット群は肝臓のまわりにたくさんの脂肪が沈着していましたが、紅茶を与えたラット群は全くそれが認められませんでした。また、血液中の中性脂肪の値を見ると、水を与えたラット群のほうがはるかに高いことがわかりました。 このような結果から紅茶のダイエット効果はほぼ間違いないといえます。
ただし、ダイエットする場合、砂糖を入れて飲むのは禁物です。砂糖のほうがカフェインより早く体内に吸収されるので、作用も砂糖のほうが先に出てしまうからです。
ミルクは影響ありませんが、紅茶でダイエットをするなら、できるだけストレートティーをのむようにしたいものです。
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